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パルス充電によるバッテリー回復を夢見て手軽なバッテリーアナライザーを入手してみた。にわか充電マニアのマストアイテム。目には見えない診断結果がおもしろい。

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筆者の目論見はあらゆるバッテリーのメンテ(実験含む)。

パルス充電器を使った性能回復や延命処置、そして廃棄バッテリーの蘇生に成功したとしてもそれらの結果を視覚化できる機械がないと達成感は得られない。単なる興味本位であるがパルス充電器を買うならばセットで入手しておきたいのがCCAアナライザーだ。

ds4


※にわか仕込みのウンチクを読みたくない人は下画像までスクロールすべし

CCA値とはなんぞ?
コールドクランキングアンペアの略称。-18度の環境で30秒後に7.2Vまで到達させる電流値◯◯Aを示す。要するに過酷な状況下でどれだけの電気を取り出せるのかという具体的な指標であり、エンジン始動を主としたカーバッテリーの理に適ったの性能値だ。テスターがどうやって算出してるのかは知らないが測定時にバッテリーに負担を与える事はないという。目的は同じでも大電流を流す従来の性能テスターと根本的に違うようだ。

CCA数値が大きいほど元気なバッテリーという事になるが当然容量の大きいバッテリーほど数値は大きい。各サイズごと理想的な基準値に換算されているのでそれと比較してテスターは劣化具合(健全性)を分析し良否判定をする。

海外製バッテリーは性能規格(容量)としてCCA値を公表しているが国産バッテリーは基本的に非公開。日本はCCA値に拘らないトータルバランスを重視?と言う人もいるし単なる規格表記の違いなのか、何れにしても馴染みのないCCA値を言われてもピンとこない。国内では信頼ある製造メーカーも限られるしJIS規格と保証体制さえ分かれば性能表示として充分なのだろう。

バッテリ残量

例えば長期使用ISS車用M-42のCCAが200だった場合、設定基準365に対し55%の健全性であるといえる。すでに劣化は深刻でテスターも「要交換」と促す。通常なら交換するしか手立てはないだろう。

バッテリーが劣化する最大の要因がサルフェーションという現象である。


サルフェーションとはなんぞ?
今更いちいち説明もどうかと思うが、鉛バッテリーの放電時に発生する硫酸鉛が電極版に付着して結晶化してしまう現象。硫酸鉛は充電により電解液に再び溶け込む仕組みだが不充分な充電だとしだいに硫酸鉛が結晶化してしまい充電をしても溶け出さなくなってしまう。そうなると充放電能力が低下し最終的にはバッテリーの寿命と判断される。

結晶化した硫酸鉛は電気を通さないので内部抵抗が大きくなり本来のバッテリー容量を満たさなくなる。例えるなら水槽に沈殿した大量の泥があり、水を補充しても少量しか入らない。すぐ満タンになる絶対的な容量不足。これがキャンピングカーのディープサイクルバッテリーで起こるとなると事態は容易に想像できるだろう。

サルフェーションの予防。常に健全な満充電状態が理想だと言われる所以がここにある。

劣化の原因となるサルフェーションの他には「成層化現象」と呼ばれるものがある。これは重い硫酸イオンが電解液の下に溜まる現象だがこちらも充電不足が原因となるので対策としては一石二鳥だ。


サルフェーションは除去できる?

除去

近年、電気的振動(パルス波形)でその結晶化を分解する手法が注目されておりサルフェーション除去を謳い各社こぞってパルス充電器を発売している。使用年数の短いサルフェーションを起こしたバッテリーなら他のダメージも少なく、かなり高確率で再生できるようだ。もちろん新品同様まで回復する訳ではないがバッテリー再生、延命に効果はある。


OMEGA PRO オメガプロ OP-BC02(品番:009070) 全自動バッテリー充電器 4ステージ パルス充電 12V 乗用車バッテリーに幅広く対応 OP-0002後継品
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CTEK シーテック MXS5.0JP バッテリーチャージャーメンテナー(全自動バッテリー充電器自動車用)充電制御車、アイドリングストップ車、ハイブリッド補機バッテリー、ECOバッテリー対応
CTEK シーテック MXS5.0JP バッテリーチャージャーメンテナー(全自動バッテリー充電器自動車用)充電制御車、アイドリングストップ車、ハイブリッド補機バッテリー、ECOバッテリー対応

こう聞くと素晴らしい充電器だと思うが実際に頑固な硫酸鉛を砕くには相当な時間がかかる。

もちろん軽度の物なら通常の4〜5時間のパルス充電で効果はあるが頑固なものになるとそのまま維持充電で5日とか。程度によるが除去できるまで何度も繰り返す長期戦になるようだ。

余談ではあるが自動車整備業界においてもこれでは実用化は難しい。そんな事をしていれば駐車場は充電するクルマで埋まってしまう。客に迷惑をかけれないしやはり確実な新品交換が手っ取り早く最善と言わざるを得ない。補充電ごときで何日も預かるなんて現実的ではないのだ。

ただし、時間と探究心を兼ね備えた個人であれば大いに結構。趣味レベルと割り切ると個人的にかなり面白いネタだと思う。セカンドカー持ちなら何も問題ではないし、無くたって帰宅から出勤までの間に充電はできる。これはもう挑戦とも言えるのかもしれない。


だらだらと前置きは長くなったが今後の為にも書いておいた方が良いと思った。


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CCA値を測定できるアナライザーは数多く存在するが筆者は大作商事のDS4を選んだ。

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手のひらサイズで非常に使いやすそう。


【DS4(J)】日本語表示 通常鉛・ISS・HV補機対応バッテリーテスター [12Vバッテリー、12V&充電/始動システムチェッカー] DS4(J)
大作商事




ちなみに筆者が購入したお店はこちら。現在品切れ中だが10,800円の最安値。電話で問い合わせたお姉さんの対応も好印象。関係ないが同じ三重県なので個人的に推し。

※追記 今は画像リンクのAmazonの方が安くなってます。変動あるので注意。

DS4はアメリカClore Automotive社のSOLAR BA9とそっくりなのでDS4の販売元である大作商事に問い合わせてみた。返答を頂いたので紹介しておくと、DS4と製造工場は同じで外観も似てるが日本向けに製造し中身はで全く違う仕様だということ。防雨型になっているアピールもあった。

とはいえ、機能は酷似しており大作商事の別注モデル?という感じかもしれない。詳しく調べてみると日本語表示などDS4の方が分かりやすく使いやすそうだった。


対応バッテリー(12V専用)
  • 通常鉛
  • ISS(アイドリングストップ用)
  • HV補機(ハイブリッド用)
機能は以下のとおり
  • バッテリーテスト(総合判定・電圧・CCA値・健全性・充電状態・内部抵抗値)
  • 始動システムの検査(クランキング時の電圧最低値を判定)
  • 充電システムの検査(オルタネータ負荷時・無負荷時・リップル電圧の判定)
オフィシャルサイトはこちら


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とりあえず筆者のハイゼットカーゴを計測してみる。ブルーバック液晶が美しい。

追記 CCAテスター実測時の注意点
  • 充電直後は時間をおいて測るべし!(筆者は90分放置)
  • 気温が低い時はCCA値も低下すると思え!(内部抵抗も同様)
  • ワニグチはターミナルにしっかり確実に!(意外な落とし穴に注意)
  • 常にバッテリーが爆発するかもしれない危機感をもて!

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バッテリー端子に繋げて「↩」を押すとバッテリータイプの選択モードになる
  • ISS/HV
  • AMG
  • 標準・開放型
  • MF・密閉型

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タイプを選択したら機器裏面の換算表でバッテリーサイズのCCA値を確認する

ハイゼットカーゴはアイドリングストップ車ではないが前記事で標準車両対応のカオス・プロを搭載したのでここではあえてISS車のM-42として(CCA値365)を入力する。

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バッテリー規格モードでCCAを指定して先程の「365」を上下ボタンで選択。

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これで選択は完了。「↩」を押せばテスト開始。テスト時間は数秒だ。


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テスト結果。総評は良好。表示は電圧とCCA実測値。

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健全性。

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充電状態と内部抵抗値。

テスト結果は「良好」。上下ボタンで切り替わる3画面(6項目)の診断結果が表示される。
  • 製造:2014年12月 カオスプロ M-42(CCA入力値365)
  • 測定日:2019年2月3日
  • 総評:良好
  • 電圧: 12.63V
  • CCA値: 332
  • 健全性: 90%
  • 充電状態: 83%
  • 内部抵抗値: 7.80mΩ
毎日使用でも通勤距離が短いので放電気味か。健全性は意外に優秀。

健全性はCCA入力値との対比(実測値÷入力値×100=健全性%)で算出されているようで、パッとみて劣化具合が分かる一番重要な情報だろう。

測定日の翌日にハイゼットカーゴを1時間ほど走らせ再測定したが、充電状態100%、CCA値は332から348に上昇し健全性95%となった。やはり通勤距離の短さで充電不足になっていたようだ。

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昨日は新品のM-42(サークラkei)を計測してみた。

  • 製造年月:2018年12月 サークラkei M-42(CCA入力値365)
  • 測定日:2019年2月2日
  • 総評:良好
  • 電圧: 12.62V
  • CCA値: 406
  • 健全性: 100%
  • 充電状態: 82%
  • 内部抵抗値: 6.37mΩ
箱出し直後なので充電は良くないが、まさかの400超えか~

た、楽しい~


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キャプチャ

調子にのって測定しまくった診断結果をまとめてみた。データ取りは新品3台と車載使用中が7台、そして廃棄予定のバッテリー10台(実験用)だ。


このデータを見てると様々なことが分かってくる。健全性が80%を下回り内部抵抗値が高めのものは不良・要交換の判定になるようだ。充放電により内部抵抗が変動する特性から充電状況を算出してるみたいだがM42などのISS車用は電気を取り出しやすくするためもともと内部抵抗は低く振り幅も小さい印象。そのため標準車用よりシビアな分析をしているようだ。

充電状態100%は、あくまでも現状でもうこれ以上は蓄電できないという状態である。

バッテリ残量3

実際は劣化による損失領域(筆者は暗黒領域と呼んでいる)があるので充電100%が本来持つべき満容量ではない。上表No.21のように充電100%でも健全性が72%なら3割以上の損失領域があると推測できるだろう。当然、瞬間的に取り出せる電気も致命的に少なくなっている。

電気を溜める容器は知らないうちに小さくなっておりテスターの分析がなければこの問題に気付く事も出来ない。満充電の上限は、いや、本来持つべき性能は健全性にある。みせかけの満充電に騙されないようにしたい。

一週間放置したバスの診断結果が「要充電」だったのは地味にショックだったがこれまでの使い方を思えば仕方ない。上表のNo.22、24をみると充電後に健全性が6%向上しているのが分かる。今後は大幅な性能回復は望めないがこれが小さな一歩になってほしい。現在は今もなお27V維持の微量なパルス波でサルフェーションをやってつけている。一週間後が楽しみだ。

No.26の嫁のNボックスはかなり優秀。ただ通勤距離の短さでこれも充電不足気味。ISS車を含む最近の車は燃費重視のため満充電まで追求しない(充電制御)と聞くが、この使い方では1回目の車検でバッテリー不良となるかもしれない。たまには1時間位の走行もしくは補充電をしておいた方が良さそう。

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ということでDS4を実際使った感覚は超かんたんでとても素晴らしいものだった。

バッテリーは良好だけど充電不足、またその逆で充電OKだけどバッテリーは要交換。そんな意味深な判定をしてくれるのが印象的で頼もしい。会社で使っているパナのアナライザーは良否判定のみで何が悪いのかよくわからないがこれはあらゆる項目の測定値を表示してくれるので有り難い。プロ機としても充分なクオリティで会社の同僚も欲しがっていた。次の職場用にはプリントアウトできる上位機種のDS6をぜひ検討したい。


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お次の記事はオメガプロのバッテリー充電器OP-BC02で遊ぶ記事になるかな。評判の高いサルフェーション除去がどのくらいか楽しみ~。